私が中期中絶をした話し。-4
私はもうここの病院では無理だと思い別の所を探しに診察室から飛び出そうとしたが、足に力が入らず、隣の祖母の涙を見て、ここで改めて事の重大さに気付く。
そして私も一緒になってお願いした、何故だか分からない涙がボロボロと出てきた。
「お願いします、何とかここでお願いします」
そして先生がスケジュールを調整し、何とかここで中絶手術をしてくれるように手配して貰えた。
今思うと、先生は私の気持ちを試していたんだなと思う。
そして、中絶同意書にサインした。
相手は店の客だなんて言えないので元彼に半ば無理やり犯されて、当の本人は消息不明ということにしてある。
これこそ店の客だなんて正直に全て話したらどうなる事やら、お腹の子には本当に申し訳ないけれど事が収まるまで悲劇のヒロインで居させて貰う。そうしなければ、私共々壊れてしまう。
ごめんね、何か言えないけれど。
今はもう、自分を取り繕う事も出来ないほどにボロボロだった。
そして、入院の説明を別室でうける。
看護師さんが1つ1つの書類の説明をしてるのだが、何も覚えていない。
話しを言葉を音としか認識出来ず脳内に残らないのだ。
その時の感覚は本当に訳がわからなくて。
「お腹の中に居るモノを引きずり出す」と「私は人殺しになる。」この2つしか脳内になかった。
だって、まさか本当に居るとは思わなくて、こんな事テレビの中だけと思っていて。
自分が自分じゃないようで、とってもとっても生きた心地がしなかった。