私が中期中絶をした話し。

私と中期中絶の全て。

私が中絶した話し。-6

 

入院は予定通りなら5日で終わる。

1日目にラミナリア桿を朝と夕二回入れて子宮口を開く。

2日目にラミナリア桿を抜き、子宮に陣痛促進剤を3時間おきに入れてお腹の子を外に出す。

後の3日は経過観察。

勿論2日目に終わらなければ入院は伸びる。

 

私は早く早く終わらせたかったのだ、もう精神的にボロボロでもう考える事もやめていた。

 

朝は祖母が家から送ってくれた。

 

「今ならまだ間に合うよ」

「産むって手もあるよ」

 

途中祖母が何回も何回も聞いてきたが、全て無視をした。

妊娠してると分かってから胎動が多くなって嫌でも中に居るんだという事がわかって、これが母性なのかという感情も出てきた。

母性だと認識してしまったら本当に壊れてしまうからなるべく考えないようにした。

 

きっとこれを読んでいる不妊治療や出産に挑む方達は何て身勝手だと思うでしょう、今の私も振り返ってみれば身勝手だと思います。

 

ですが、妊娠に伴う心身のバランスは個人差があり、綺麗事を並べ正論だけでは綺麗に収まらないのです。

 

そして病院に到着、入院費を先に病院に預け最初のラミナリア桿を子宮口に挿入。

 

他の方々の体験記を読んでいたら「死ぬほど痛い」「我慢出来ないほど」「麻酔をして貰わないととても耐えれる痛みじゃない」と書いてあったので覚悟は決めていましたが、そこまでの痛さじゃありませんでした。

 

確かに無痛とはいきませんが、麻酔をして貰う程の痛みではない。膣の中に器具を入れる時は少し痛いですが、痛みより違和感の方が強かったです。カチカチッと乾いた固い音がお腹のなでする違和感。

 

そして最初の挿入は10分弱で終了、病室に移動しそっからは1人でぼーっとしてました。

 

考えるともう何が何だか分からなくなって叫びたくなるのでわざと考えず、テレビを無心で見てました。

 

そしてお昼、やっとこれで終わるんだと安堵感で全て平らげました。

もう自暴自棄。

 

そして薬を貰い、飲んで昼寝。

 

ラミナリア桿はちょっと重い生理痛の様な感じでしたが全然寝れる痛さ。

 

夕方のラミナリアを入れるために診察室に呼ばれそこで担当の先生に

 

「今ならまだ間に合うよ?」

 

と言われましたが、このままお願いしますと即答。その時の周りの看護師さんの表情は未だに忘れられません。

 

そして二回目のラミナリア桿挿入。

 

二回目は多少痛みがありましたが、耐えれる痛み。途中入れていたラミナリア桿が抜けるアクシデントがあり変に力んでしまいましたが、それでも耐えれる痛み。

これ痛い痛い言ってた人先生が悪いんじゃ?とか悠長な事考えてました。

 

ほんと、自分を殴りたい。

 

 

 

 

私が中絶した話し。-5

 

そして病院で診察代17,000円を払い祖母の家へ。

 

何をする気力も無く気付いたら寝ていた。

小さい時の夢を見た気がする、そしていじめられていた時の夢も、何でこのチョイスなのか私でも分からない。

 

夕方頃仕事が終わった両親が来て話し合いをした。

まずは入院と治療費用の41万円をどう工面するかから、入院当日の朝病院に前金として41万円を納めないと手術が出来ないのだ。私は週数ギリギリ火曜日まで(今は木曜日)に41万円用意しないと降ろせない、降ろせないとなると産むしかない。この時の私は絶対に下す気で産むだなんて考えてなかった。

41万の大金なんて私にも我が家にも父方の祖母宅にも有るはずなくて、母方の祖母宅に頼る事にした。

母の方の家族はかなり難がある家庭で話すと長くなるのでここでは軽く触れる程度にします。

 取り敢えず母方の祖母も祖父も尊敬に値する人では無いし、母も実の両親を嫌って連絡も滅多な事が無いと取らない。

以前母から聞いた話だと母親に産まなきゃ良かったと言われそれ以来、高校を卒業したらすぐに家を出て母から離れると心から決めたらしい。しかも最近母方の祖母の心臓が良くないらしくあまり変な風に刺激はしたくないという。

でも事が事だ、仕方なく電話をかける。

 

が、やはり母方の祖母宅にも41万の大金なんて無く、、、。

 

最終的に叔父に借りる事が出来た。

 

色んな人に迷惑をかけて、私の甘い考えで1つの命を殺す。

 

迷惑をかけて大金をかけての人殺し。

私がもっと考えて、私がもっともっとしっかりしてれば、助かった命。

 

それを、私は殺すのだ。

 

入院するまでの三日間は地獄だった。

訳も分からず涙が出てきて、イライラは収まらず母親と衝突して。

 

もう何もかも嫌になって、自暴自棄になってODしてリスカもしてやろうかと思ったが入院先で面倒な事になるのも嫌だから我慢した。

 

そして、入院当日。

 

私は明日お腹の子を殺す。

私は人殺しになるのだ。

 

 

私が中期中絶をした話し。-4

 

私はもうここの病院では無理だと思い別の所を探しに診察室から飛び出そうとしたが、足に力が入らず、隣の祖母の涙を見て、ここで改めて事の重大さに気付く。
そして私も一緒になってお願いした、何故だか分からない涙がボロボロと出てきた。

「お願いします、何とかここでお願いします」

そして先生がスケジュールを調整し、何とかここで中絶手術をしてくれるように手配して貰えた。

 

今思うと、先生は私の気持ちを試していたんだなと思う。

そして、中絶同意書にサインした。

相手は店の客だなんて言えないので元彼に半ば無理やり犯されて、当の本人は消息不明ということにしてある。
これこそ店の客だなんて正直に全て話したらどうなる事やら、お腹の子には本当に申し訳ないけれど事が収まるまで悲劇のヒロインで居させて貰う。そうしなければ、私共々壊れてしまう。

 

ごめんね、何か言えないけれど。

 

今はもう、自分を取り繕う事も出来ないほどにボロボロだった。

 

そして、入院の説明を別室でうける。

看護師さんが1つ1つの書類の説明をしてるのだが、何も覚えていない。

 

話しを言葉を音としか認識出来ず脳内に残らないのだ。

 

その時の感覚は本当に訳がわからなくて。

 

「お腹の中に居るモノを引きずり出す」と「私は人殺しになる。」この2つしか脳内になかった。

 

だって、まさか本当に居るとは思わなくて、こんな事テレビの中だけと思っていて。

 

自分が自分じゃないようで、とってもとっても生きた心地がしなかった。

 

 

 

私が中期中絶した話し。-3

 

事の発端は5月まで遡ります。

 

5/1に終わった生理からここ半年生理が来ませんでした。

 

最初は単なる不順かな?と思いましたが何かが違う。

 

そう、悪阻が始まったのです。

全く吐かない体質の私が食べ物を食べようとすると吐く、出勤する前に何か食べようとする時に必ず吐いていたのでストレスからくる吐き気と自己暗示してました。

 

薄々は気づいてたのに、背を向けて。

病院に行く事も検査薬をする事も、真実を知るのが怖くて嫌でやりませんでした。

 

もし、妊娠してたら?

相手は100%客です、だって私好きな人と一回もSEXしてないから。

プライベート処女だから。

 

そんなどの客と出来た子なのかも分からない。

そんな子がお腹の中に入るという現実が怖くて目を背けて20週まで来てしまいました。

 

お腹は膨らみ、胸も大きくなり異変に気がついた祖母に半ば無理やり連れてかれてやっと向き合う事が出来た。

 

今、こうやって書いているけれど。

本当に本当に半年前の私は何もかもが甘々で、もし半年前の私が今目の前に現れたら有無も言わず殴りかかってる。

 

半年前の自分に嫌気がさす程腹ただしい。

 

そうして病院に行き、尿検査で伝えられた。

 

「妊娠してますね」

 

言葉に出来ない感情が沸々と湧き上がる。

内診台にあがり膣に器具を入れられる感覚も、先生が質問してくる声も、エコーを撮る時塗るジェルの生暖かい感触も。

 

全て現実じゃないような気がして。

 

そして祖母と一緒に診察内容を聞く。

 

お腹の子は20週行っていた、法律で21w6dを過ぎると降ろせない、もうギリギリだ。

 

そこで祖母が涙を流しながら何度も何度も頭を下げて懇願した。

 

 

 

私が中期中絶をした話し。-2

 

私は高校を卒業して、デリヘル一本で働いてました。

 

親には高校の夏休みにやっていた短期バイトの延長で働ける事になったと嘘をつき、家から40分程の駅の側が待機場のデリヘルで働いていた。

 

両親は高校を出たらあまり干渉はしなかった、毎月3万円家に入れれば後は自由。

勿論放置って訳では無く、両親の考えがあっての自由。

私はそれに漬け込んで只管甘い蜜を啜る毎日を送っていた。

 

昼過ぎに起き、ダラダラと過ごし家の事など一切しない。

部屋はみるみる汚くなっていく一方、それでも両親に咎められない生活。

金は有り余るほどある、だって1日働けば3万円は固いのだ。

夕方頃支度して家を出て待機場の最寄の駅へ向かう、そこで昼飯か夕飯か分からないご飯を食べ、出勤時間までネカフェで時間を潰す。

 

そして時間になったら、駅のロータリーへ向かい車に乗り込む。

 

4月は出勤すれば即予約が入っている状態だった、黒髪、色白、清楚の三拍子揃った18歳の新人だもの、そりゃ色物好きのおっさんにはウケがよかった。

 

お茶(予約が入らず暇な事)は一切無し。

90分120分が当たり前、慣れてない素人感もウケがよかったらしくて本指名(1回遊んだ女の子を二回三回と呼ぶお客さんの事)もそれなりについていた。

 

-別にバレないし

-性病とか妊娠とかしないし

-楽に稼げるから最高じゃん

 

そう思っていた、そう思っていたから今回の事が起きてしまった。

 

このドロドロに甘えた考えが全ての元凶。

 

お金欲しさに本番もした。

ゴム無しでも沢山した、どうせ中に出さなきゃ子供なんか出来ないって。

そう考えていた。

 

1万欲しさにやった行為が。

後々何十倍に跳ね返って、家族に迷惑をかけて、自分の心と体を痛めつけて。

全てをボロボロにした。

 

そうこの一万欲しさに全てを壊したのだ。

そしてその一万で出来てしまった子を、殺してしまったのだ。

 

41万かけて。

 

 

私が中期中絶をした話し。

 

-2016.09.21

 

私はお腹の子を降ろし(殺し)ました。

 

全ては私の考えの甘さ

全ては若さ故の行動の愚かさ

 

全ては私の全てが招いた事。

 

もうこんな思いはしたくない、もう二度とこんな過ちは犯さない。

 

その為に、自分の気持ちの整理と戒めを兼ねてこのブログに全てを綴ります。

 

これを見ている、私に似た子が。

 

同じ過ちを犯さないように祈ります。

 

 

人一人殺すこの感触と感覚は

本来ならば経験する必要の無い感情は

 

私の一生を持って償います。